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LLM回帰テストとは|性能を変えていないのに、46.1%の日が「悪化」になった

LLM回帰テストで何を見るのか毎日測ると何が起きるのか本当の悪化とどう見分けるのか

性能をまったく変えずに、毎日100件で測り直しました。前日より下がった日は46.1%です。

1日20件だと、50.0ポイントの落ち込みまで出ました。何も変えていないのに、です。

この記事の要点

  • 1日100件で、前日より下がった日が46.1%
  • 3ポイント以上の落ち込みも29.6%
  • 1日1000件なら3ポイント以上は3.2%
  • 1日20件では50.0ポイントの落ち込みも出る

LLM回帰テストで見ているもの

変更のあとで悪くなっていないかを確かめます。ただし出力が毎回同じとは限らないので、比べ方に工夫が要ります。

LLM回帰テストは、変更したあとで悪くなっていないかを確かめる仕組みです。指示の書き換えやモデルの入れ替えのあとに走らせます。

従来のテストとの違い

普通のプログラムのテストは、同じ入力なら同じ出力になります。違いが出れば、それは変更のせいです。

生成AIでは、同じ入力でも出力が毎回違うことがあります。違いが出ても、変更のせいとは限りません。

2種類のばらつき

  1. 出力そのもののばらつき。同じ問いに違う答えが返る
  2. 測り方のばらつき。問題を取り替えると数字が動く
  3. 本当の変化。指示やモデルを変えた影響
  4. 環境の変化。提供側の更新など、こちらが触っていない要因

この記事の次の節で測るのは2番目です。問題を固定していても、同じ問題を何度も測れば数字は動きます。

出力のばらつきを減らす

1番目については、減らす手立てが知られています。Anthropicの資料は望む出力の例を示すこと。これは抽象的な指示より効果的であるとしています。

ただし出力を安定させても、2番目のばらつきは残ります。別の問題として扱う必要があります。

余談 次の節の計測での注意

次の節では性能をまったく変えずに、毎日測り直したときに何が起きるかを数えます。実際のモデルを呼んではおらず、決めた正答率で当たり外れを作っています。見せているのは、測り方だけから生じる上下の大きさです。問題集の規模そのものはゴールデンデータセットの記事で扱っています。

出典Anthropic ドキュメント「Increase output consistency」2026-08-18 確認
Provide examples of your desired output. This is more effective than abstract instructions.
原文Anthropic ドキュメント「Increase output consistency」 この内容の有効期限2027-02-18

性能を変えていないのに、46.1%の日が「悪化」になった

性能を固定したまま90日ぶんを測り直しました。半分近くの日が前日より下がります。

LLM回帰テストで毎日の変化を見るとどうなるのかを、実際に走らせて測りました。正答率85%のまま、性能はまったく変えていません

90日ぶんを測り直し、前日より下がったら悪化として数えました。これを500回繰り返しています。

javascript
for (let d = 0; d < DAYS; d++) {
  let ok = 0;
  for (let i = 0; i < n; i++) if (r() < TRUE_RATE) ok++;
  const rate = ok / n;
  if (prev !== null && prev - rate > 0) drops++;
  prev = rate;
}
text
1日あたりの件数  「悪化」と判定した日数  そのうち3ポイント以上  最大の落ち込み
         20件           41.0%               41.0%        50.0ポイント
         50件           44.4%               33.6%        26.0ポイント
        100件           46.1%               29.6%        22.0ポイント
        300件           47.5%               15.8%        12.3ポイント
       1000件           48.6%                3.2%         6.8ポイント

上の表を見てください。1日100件で測ると、46.1%の日が前日より下がっています。

半分近くになるのは当然

この数字は驚くことではありません。上がるか下がるかは半々なので、下がる日が半分近くあるのは自然です。

問題はそれを悪化として扱うかどうかです。毎日「下がりました」と報告していれば、半分の日は報告することになります。

件数で落ち込みが変わる

見るべきは右の2列です。1日100件だと3ポイント以上の落ち込みが29.6%、最大で22.0ポイント落ちました。

1日1000件にすると、3ポイント以上は3.2%、最大でも6.8ポイントです。件数を増やすと、大きな落ち込みが出なくなります。

1日20件では50.0ポイントの落ち込みが出ました。性能は何も変わっていません。この幅で報告していると、毎週のように調査が走ります。

件数が少ないほど、幻の落ち込みが大きくなる。

単位: %1日20件41%1日50件33.6%1日100件29.6%1日300件15.8%1日1000件3.2%正答率85%を固定して90日×500回測り直した実測。最大の落ち込みは20件で50.0ポイント、1000件で6.8ポイント。
図1 ── 3ポイント以上の落ち込みが起きた日の割合
出典Anthropic ドキュメント「Increase output consistency」2026-08-18 確認
Precisely define your desired output format using JSON, XML, or custom templates so that Claude follows every output formatting element you require.
原文Anthropic ドキュメント「Increase output consistency」 この内容の有効期限2027-02-18

本当の悪化をどう見分けるか

1日の上下ではなく水準を見ます。上下の幅を先に測っておけば、無視してよい範囲が決まります。

LLM回帰テストを運用に載せるには、どこからを悪化と呼ぶかを決める必要があります。

上下の幅を先に測る

手順は単純です。何も変えずに数日測ると、その環境での上下の幅が分かります。

前の節の条件なら、1日100件で最大22.0ポイント動きました。この幅より小さい変化は、変更のせいだと言えません。

水準で見る

  1. 前日と比べない。上がるか下がるかは半々になる
  2. 数日の平均で見る。1日の上下がならされる
  3. 続けて下がっているか見る。1日だけなら様子を見る
  4. 幅を超えたときだけ調べる。基準を先に決めておく

3番目が実務では効きます。2日続けて下がったら見る、といった規則にしておくと、調査の回数が現実的な数に収まります。

ばらつきそのものを減らす

測り方の工夫とは別に、出力を安定させる手立てもあります。Anthropicの資料は複雑な作業を、より小さく一貫した下位の作業に分解することを挙げています。

1回の呼び出しでやることを減らせば、結果の振れ幅も小さくなります。ただし前の節で測ったばらつきは、これでは消えません。

幅を測ってから、基準を決める。

充足 2 / 4何も変えずに数日測って幅を見た1日100件では最大22.0ポイント動く。この幅が判断の下限になる数日の水準で見る規則にしている前日比では、性能が同じでも46.1%の日が下がる前日より下がったら毎回調べている半分近くの日が該当する。調査が終わらなくなる1日20件程度で判断している性能が同じでも50.0ポイントの落ち込みが出た正答率85%を固定して90日×500回測り直した実測にもとづく。1日1000件なら最大6.8ポイントだった。
図2 ── 回帰テストを運用に載せるときの点検項目
出典Anthropic ドキュメント「Increase output consistency」2026-08-18 確認
Break down complex tasks into smaller, consistent subtasks.
原文Anthropic ドキュメント「Increase output consistency」 この内容の有効期限2027-02-18

よくある質問

毎日測ってはいけないのですか
測るのは構いません。前日と比べて上下したことを、そのまま良し悪しとして扱わないことが要点です。
何件あれば落ち着きますか
この計測では、1日1000件にすると3ポイント以上の落ち込みが3.2%まで下がりました。100件では29.6%です。
本当の悪化とどう見分けるのですか
1日の上下ではなく、水準そのものを見ます。何日か続けて下がっているかどうかが判断の材料になります。
出力を安定させる方法はありますか
出力の形を細かく指定する、例を見せるといった手立てがあります。ただし測り方のばらつきとは別の話です。

まとめ

  • 変更で悪くなっていないかを確かめる仕組み
  • 性能が同じでも46.1%の日が前日より下がる
  • 件数を増やすと落ち込みは小さくなる
  • 1日の上下ではなく水準を見る

今日から始められること

  1. 1日あたり何件で測っているか確かめる
  2. 性能を変えずに数日測って、上下の幅を見る
  3. その幅より小さい変化は無視すると決める
  4. 水準が続けて下がったときだけ調べる

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