評価・監視・ガードレール

ゴールデンデータセットとは|20問だと、同じ性能の2つに76%の確率で差が見える

ゴールデンデータセットとは何か何問そろえればよいのか少ないと何が起きるのか

20問で測ると、本当は72%の正答率が50%から90%までのどこかに出ます。同じモデルを測り直しただけです。

さらに悪いのは比較のときです。まったく同じ性能の2つを20問で比べると、76%の確率で差があるように見えます

この記事の要点

  • 20問だと50%〜90%まで出る
  • 100問で63%〜81%
  • 同じ性能の2つが20問だと76%で差に見える
  • 300問なら17.4%まで下がる

20問だと、同じ性能の2つに76%の確率で差が見える

問題数を変えて2000回ずつ測り直しました。少ない問題数では、数字そのものが当てになりません。

ゴールデンデータセットの規模がどう効くのかを、実際に走らせて測りました。本当の正答率を72%と置き、問題数を変えて2000回ずつ測り直す形です。

同じ性能のものを何度も測り直しているので、出てくる数字の幅は、そのまま測り方のばらつきになります。

javascript
const measure = (n) => {
  const vals = [];
  for (let t = 0; t < REPEAT; t++) {
    let ok = 0;
    for (let i = 0; i < n; i++) if (r() < TRUE) ok++;
    vals.push(ok / n);
  }
  vals.sort((a, b) => a - b);
  return { lo: vals[Math.floor(REPEAT * 0.025)], hi: vals[Math.floor(REPEAT * 0.975)] };
};
text
問題数  出る値の範囲(95%)      本当の値と5ポイント以内
   10件  40.0% 〜 100.0%             26.7%
   20件  50.0% 〜 90.0%              38.1%
   50件  60.0% 〜 84.0%              58.2%
  100件  63.0% 〜 81.0%              73.3%
  300件  66.7% 〜 77.0%              94.2%
 1000件  69.2% 〜 74.8%             100.0%

上の表を見てください。20問で測ると50%から90%までの値が出ます。本当は72%です。

比較はもっと危ない

1つの数字を見るだけならまだ気づけます。危ないのは2つを比べたときです。

text
問題数  本当は差がないのに「差がある」と見えた割合
   10件               79.0%
   20件               75.9%
   50件               58.7%
  100件               45.0%
  300件               17.4%
 1000件                0.9%

20問だと75.9%の確率で差があるように見えました。中身はまったく同じ性能です。

どこから使えるか

100問で45.0%、300問で17.4%まで下がります。数ポイントの差を判断したいなら、このあたりが下限です。

問題数が少ないと、差がないものに差が見える。

%79010問20問50問100問300問1000問差があると見えた割合本当の正答率を72%として2000回ずつ測り直した実測。5ポイント以上の差を「差がある」と読んだ場合。
図1 ── 同じ性能の2つに差があると見えた割合
出典Anthropic ドキュメント「Create strong empirical evaluations」2026-08-18 確認
Prioritize volume over quality: More questions with slightly lower signal automated grading is better than fewer questions with high-quality human hand-graded evals.
原文Anthropic ドキュメント「Create strong empirical evaluations」 この内容の有効期限2027-02-18

ゴールデンデータセットとは何か

正解を決めた評価用の問題集です。同じ問題を毎回使うことで、変更の前後を比べられるようにします。

ゴールデンデータセットは、正解を決めた評価用の問題集です。基準になる問題という意味で呼ばれます。

なぜ固定するのか

毎回違う問題で測ると、良くなったのか問題が易しかったのか分かりません。同じ問題を使えば、前後を比べられます。

指示を書き換えたとき、モデルを替えたとき、検索の設定を変えたとき。比べる相手が要ります

自動で採点できる形にする

前の節のとおり、問題数が要ります。人が採点していると数がそろいません

Anthropicも、可能な場合は自動化し、選択式・文字列の一致・コードによる採点・モデルによる採点といった形にできるよう問題を組み立てることを挙げています。

数を優先する

同じ文書は、より踏み込んだ言い方をしています。手作業で丁寧に採点した少数の問題より、少し信号が弱くても自動採点できる問題を多く持つほうがよいという順序です。

前の節の実測がこの順序を裏づけています。20問では76%の確率で幻の差が見えました。丁寧さより先に数が要ります。

余談 この計測での注意

この節の計測は実際のモデルを呼んでいません。決めた確率で当たり外れを作り、問題数だけを変えています。見せているのは、測り方そのものが持つばらつきです。実際にはモデル側のばらつきも加わるので、必要な問題数はこれより多くなります。指標の選び方は検索評価の記事で扱っています。

出典Anthropic ドキュメント「Create strong empirical evaluations」2026-08-18 確認
Automate when possible: Structure questions to allow for automated grading (for example, multiple-choice, string match, code-graded, LLM-graded).
原文Anthropic ドキュメント「Create strong empirical evaluations」 この内容の有効期限2027-02-18

評価用の問題をどこから集めるか

実際に来る問い合わせから集めます。作った問題では、実際に使われる場面と分布がずれます。

ゴールデンデータセットの問題は実際に来るものから集めます。想像で作ると偏ります。

実態に合わせる

Anthropicも、実際の課題の分布を映す評価を設計し、境目にあたる場合を織り込むことを挙げています。

作った問題はきれいすぎることが多いです。実際の問い合わせには、曖昧なもの、前提が抜けたもの、そもそも対象外のものが混ざります。

混ぜておくもの

  1. 対象外の問い。答えられないと返すのが正解
  2. 長すぎる入力。渡せる量を超える場合
  3. 曖昧な問い。聞き返すのが正解になることもある
  4. 害のある入力。断るのが正解

Anthropicの文書も、境目の例として無関係または存在しない入力、長すぎる入力、質の悪い入力、曖昧な事例を挙げています。

育て方

最初から300問そろえる必要はありません。まず100問集めて測り、外した問いを足していくのが現実的です。

外した問いは、そのまま次の問題になります。問題集は運用しながら育ちます

数と、実態への近さの両方が要る。

充足 2 / 4自動で採点できる形になっている人が採点していると数がそろわず、20問では幻の差が76%出る実際に来る問い合わせから集めている作った問題はきれいすぎて、実際の分布とずれる20問程度で数ポイントの差を判断している実測では本当の72%が50%から90%まで振れた対象外や曖昧な問いを入れていない境目にあたる場合こそ、実運用で問題になる本当の正答率72%・2000回の測り直しでの実測にもとづく。300問で誤検出は17.4%まで下がった。
図2 ── 問題集を作るときの点検項目
出典Anthropic ドキュメント「Create strong empirical evaluations」2026-08-18 確認
Be task-specific: Design evals that mirror your real-world task distribution. Don't forget to factor in edge cases!
原文Anthropic ドキュメント「Create strong empirical evaluations」 この内容の有効期限2027-02-18

よくある質問

何問そろえればよいですか
この計測では、本当の値と5ポイント以内に収まる割合が100問で73.3%、300問で94.2%でした。
少ない問題数では使えないのですか
大きな差を見るだけなら使えます。数ポイントの差を判断するには足りません。
問題は選び抜くべきですか
Anthropicは、少数の丁寧な問題より、多少雑でも自動採点できる問題を多く用意するほうがよいとしています。
問題数を増やせば済みますか
実際に使われる場面に近いことも要ります。数だけ増やしても、偏った問題集なら実態を映しません。

まとめ

  • 正解を決めた評価用の問題集
  • 20問だと50%〜90%まで振れる
  • 同じ性能の2つでも76%で差に見える
  • 自動で採点できる形にして数をそろえる

今日から始められること

  1. 実際に来る問い合わせから問題を集める
  2. 自動で採点できる形に直す
  3. まず100問そろえる
  4. 数ポイントの差を判断したいなら300問まで増やす

実務で組んだゴールデンデータセットのワークフローには、値段が付きます

同じ課題を持つ会社にとって、動いている設定は「作る時間」を買えるということです。ServiceDockは自作のワークフローやテンプレートを出品できるマーケットプレイスです。手数料や出品の流れは出品者向けページにまとまっています。

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