評価・監視・ガードレール

根拠性評価とは|点0.50は全部正しく、0.67と0.75は全部間違っていた

根拠性評価とはどう測るのか点の高さは正しさに対応するのか対策を重ねるとどこまで減るのか

回答を主張に割り、支えが取れた割合を点にしました。点0.50の回答は367件すべてが正しい結果でした。

ところが点0.67と0.75の回答は、1124件すべてが間違いでした。点は正しさの順に並びません。

この記事の要点

  • 平均点は0.729と0.661で近い
  • 点0.50は外れ率0%
  • 点0.67と0.75は外れ率100%
  • 満点でも19.1%が外れている

根拠性評価とはどう測るのか

回答を主張に割り、根拠から言えるものを数えます。数えた割合がそのまま点になります。

根拠性評価は、回答の一つひとつの主張が根拠から言えるかを数える評価です。回答全体をまとめて見るのではありません。

手順は3つ

  1. 割る。回答を主張の単位に分ける
  2. 照らす。主張ごとに根拠から言えるかを見る
  3. 割り算する。言えた数を主張の総数で割る

出典も2番目の手順を生成された文それぞれについて、与えられた文脈から導けるかを確かめると書いています。文の単位で見る点が要です。

実際に点にする

javascript
function groundScore(ans, ev) {
  const parts = ans.split(/[。\n]/).map((x) => x.trim()).filter(Boolean);
  if (parts.length === 0) return 0;
  let ok = 0;
  for (const p of parts) {
    const numOk = nums(p).every((x) => ev.includes(x));
    const deptOk = depts(p).every((d) => ev.includes(d));
    if (numOk && deptOk && overlap(p, ev) >= 0.35) ok++;
  }
  return ok / parts.length;
}

この式を、社内規程の条文と回答の組4000件に当てました。回答の3割強は、わざと根拠から外してあります。

平均を見ても分からない

text
規程の条文と回答の組 4000件。主張ごとに支えを数えて0〜1の点にする

根拠から外れていない 2288件の平均点: 0.729
根拠から外れた 1712件の平均点:       0.661

正しい回答の平均が0.729、外れた回答の平均が0.661です。差は0.068しかありません

平均だけを見ると、この評価はほとんど効いていないように見えます。ところが中身を割ると、まったく違う姿が出てきます。

出典Ragas「Faithfulness」2026-08-18 確認
Step 2: For each of the generated statements, verify if it can be inferred from the given context.
原文Ragas「Faithfulness」 この内容の有効期限2027-02-18

点0.50は全部正しく、0.67と0.75は全部間違っていた

点の高さは正しさの順に並びません。しきい値を1本引く使い方は成り立ちません。

根拠性評価の点を、値ごとに分けて数えました。順に並ぶかどうかを見るためです。

text
点        外れていない  外れている  この点での外れ率
0.00          436件        238件         35.3%
0.50          367件          0件          0.0%
0.67            0件        734件        100.0%
0.75            0件        390件        100.0%
1.00         1485件        350件         19.1%

点0.50の回答は367件すべてが正しい結果でした。ところが点0.67と0.75は、合わせて1124件すべてが間違いです。

点が高いほうが間違っています。順序が反転しています

なぜ反転するのか

0.50に固まっているのは、言い換えて短くまとめた正しい回答です。文の数が少ないので、1文外すと点が大きく落ちます

0.67と0.75にいるのは、根拠にない条件を1文だけ足した回答です。ほかの文は根拠どおりなので、点は高いまま残ります。

満点も安全ではない

満点の1835件のうち350件は根拠から外れています。割合にして19.1%です。

出典の定義はすべての主張が取得した文脈から支持できるとき、その応答は忠実とみなされるというものです。定義どおりに数えても、支持の判定が字面に頼る限りこの取りこぼしは残ります。

中身はハルシネーション検出の記事で扱った意味の反転です。数値も固有名詞も一致するので、どの文も支えありと数えられます。

点の高低は、正しさの順に並ばない。

単位: %点 0.67100%点 0.75100%点 0.0035.3%点 1.0019.1%点 0.500%条文と回答の組4000件での実測。件数は順に674件・367件・734件・390件・1835件。
図1 ── 点ごとの外れ率
出典Ragas「Faithfulness」2026-08-18 確認
A response is considered faithful if all its claims can be supported by the retrieved context.
原文Ragas「Faithfulness」 この内容の有効期限2027-02-18

対策を4段積んだところで、効きが止まった

照らす対象を増やすほど誤りは減ります。ある段から先は、落ちるのが正しい回答ばかりになります。

根拠性評価を運用に載せるとき、判定を1段ずつ積みたくなります。積むほど良くなるのかを測りました。

text
規程の条文と回答の組 4000件。対策を1段ずつ積んだときに何が残るか

積んだ対策            返した  残った誤り  巻き添え  返答率  誤り率
何もしない                    4000件       1674件        0件  100.0%   41.9%
数値の一致で落とす                3596件       1270件        0件   89.9%   35.3%
固有名詞も見る                  3250件        924件        0件   81.3%   28.4%
文ごとの照合も足す                1781件        292件      837件   44.5%   16.4%
点0.8未満も落とす               1781件        292件      837件   44.5%   16.4%

※ 巻き添え=根拠から外れていないのに落とした件数

3段目までは巻き添えが0件です。数値と固有名詞の照合は、正しい回答を落としません。

4段目で性格が変わる

4段目で誤りは924件から292件へ減ります。同時に巻き添えが837件出ます。

返答率も81.3%から44.5%へ落ちました。返す量が半分近くになる代わりに、誤り率が28.4%から16.4%へ下がる交換です。

5段目は何も変えなかった

点を使った5段目は、4段目と1件も違いません。文ごとの照合を通った回答は、すでに全部が満点だからです。

重ねたつもりで何も足していない状態です。段を増やすときは、前の段と重なっていないかを毎回測ります

支えの判定そのものを変えるなら、別の手が要ります。出典はこのモデルは忠実性の計算の2段目、すなわち主張を与えられた文脈と突き合わせて導けるかを判定する場面で使えるとして、判定用のモデルを挙げています。

4段目から先は、落ちるのが正しい回答ばかりになる。

単位: %何もしない41.9%数値の一致35.3%固有名詞も28.4%文ごとの照合16.4%点も足す16.4%条文と回答の組4000件での実測。値は返した回答に占める誤りの割合。返答率は順に100.0%・89.9%・81.3%・44.5%・44.5%。
図2 ── 積んだ段ごとの返答率と誤り率
余談 この計測での注意

使ったのは式で作った条文と回答です。実際の回答はもっと長く、1件あたりの主張の数も増えます。主張が多いほど点は細かくなり、この計測ほど極端な固まり方はしません。ここで見せているのは、点にまとめた時点で順序の情報が失われるという関係です。

出典Ragas「Faithfulness」2026-08-18 確認
This model can be used in the second step of calculating faithfulness, i.e. when claims are cross-checked with the given context to determine if it can be inferred from the context.
原文Ragas「Faithfulness」 この内容の有効期限2027-02-18

よくある質問

根拠性評価の点はどう出しますか
回答を主張に割り、根拠から言えるものを数えて総数で割ります。この計測でも同じ手順で0から1の値にしました。
点にしきい値を置けば判定できますか
できません。この計測では点0.50が全部正しく、0.67と0.75が全部間違いでした。どこに線を引いても両方が混ざります。
満点なら安心してよいですか
いいえ。満点の1835件のうち350件は根拠から外れていました。割合にして19.1%です。
では点は何に使えますか
人が見る順番を決めるのに使えます。点の低い回答から確認すれば、限られた時間で多くの誤りに当たります。

まとめ

  • 主張に割って支えを数える評価
  • 点の高低は正しさの順に並ばない
  • 満点でも2割が外れる
  • 点は並べ替えに使う

今日から始められること

  1. 自社の回答50件で点を出し、正誤と並べる
  2. 点ごとの正誤の混ざり方を表にする
  3. 点で合否を決めていないか確かめる
  4. 点の低い順に人が見る運用へ切り替える

実務で組んだ根拠性評価のワークフローには、値段が付きます

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