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自己整合性とは|正解率70%を9回の多数決で97.8%に、ただし50%を切ると逆に下がる

自己整合性とはどういう方法なのか何回まで増やす価値があるのか効かない場合はあるのか

AIの答えが安定しないとき、同じ問いを何度か解かせて、いちばん多かった答えを採る方法があります。自己整合性、あるいはself-consistencyと呼ばれます。

20,000回ずつ試行したところ、1回の正解率70%は9回の多数決で97.8%まで上がりました。ところが50%を切ると、回数を増やすほど下がります。

この記事の要点

  • 自己整合性は複数回解かせて多数決を取る方法
  • 1回70%は9回で97.8%、80%は9回で99.7%
  • 1回40%だと9回で26.3%まで下がる
  • 効くのは正解が最も多く出る場合に限られる

自己整合性とはどういう方法なのか

同じ問いを複数回解かせ、いちばん多かった答えを採ります。答えがばらつくことを前提にした方法です。

自己整合性は、同じ問いを何度か解かせて、最も多く出た答えを採用する方法です。1回の答えに賭けるのをやめる、という発想になります。

ばらつくことが前提

この方法は、答えが毎回同じだと成立しません。ばらつきがあり、そのなかで正解がいちばん多く出るという状態が前提になります。

ですから毎回同じ答えを返す設定では効きません。ばらつかせる設定にしたうえで使うことになります。

独立していることが要る

もうひとつの前提が、各回が互いに影響しないことです。前の答えを見せてから解かせると、そちらに引きずられて同じ誤りが繰り返されます

Anthropicも、複数の作業を並行して動かす使い方を案内しており、まっさらな文脈で見たほうが、直前に自分が書いたものに引きずられずに済むと述べています。独立させることの効き目は、ここでも同じです。

似た方法との違い

自分で見直させる方法は自己反省の記事で、枝分かれさせて探す方法はTree of Thoughtの記事で扱っています。自己整合性は、独立した複数の答えを取って数える点が両者と違います。

余談 答えが割れたこと自体が情報になる

運用してみて気づいたのは、答えが割れた問いは、そもそも難しい問いだということでした。5回中3対2で割れたなら、多数決の結果を採るより人に回すほうが確実です。編集部では、割れ方も一緒に記録するようにしています。

出典Claude Code Docs「Best practices for Claude Code」2026-08-17 確認
Run multiple Claude sessions in parallel to speed up development, run isolated experiments, or start complex workflows.
原文Claude Code Docs「Best practices for Claude Code」 この内容の有効期限2027-02-17

正解率70%を9回の多数決で97.8%に、ただし50%を切ると逆に下がる

20,000回ずつ実際に試行しました。1回70%は9回で97.8%まで上がり、1回40%は9回で26.3%まで下がります。

自己整合性がどこまで効くのかを、実際に回して測りました。条件は1回あたりの正解率を変え、多数決の回数も変えて、それぞれ20,000回ずつ試行です。

乱数は固定の種から作っているので、何度実行しても同じ結果になります。誤答は3種類に散るものとして扱いました。

javascript
// 1回の解答。正解率 p で正解し、外すときは3種類の誤答のどれかに散る
function answerOnce(p) {
  if (rand() < p) return 'correct';
  return `wrong${Math.floor(rand() * 3)}`;
}

// n回解かせて最も多かった答えを採る
function majority(p, n) {
  const count = {};
  for (let i = 0; i < n; i++) {
    const a = answerOnce(p);
    count[a] = (count[a] || 0) + 1;
  }
  let best = null, bestN = -1;
  for (const [k, v] of Object.entries(count)) if (v > bestN) { best = k; bestN = v; }
  return best === 'correct';
}
text
1回あたりの正解率ごとに、多数決の回数を変えて 20,000回ずつ試行

1回の正解率   1回   3回   5回   9回
      50%   49.8% 58.6% 66.6% 79.4%
      60%   59.7% 71.5% 81.0% 91.8%
      70%   69.8% 82.8% 91.1% 97.8%
      80%   79.9% 92.0% 97.2% 99.7%

誤答が1種類に集中している場合(同じ間違いを繰り返す)

1回の正解率   1回   3回   5回   9回
      40%   40.1% 35.9% 31.6% 26.3%
      50%   50.0% 50.2% 49.6% 49.6%
      60%   59.6% 64.9% 68.1% 73.3%

上の表は素直に伸びています。1回70%が9回で97.8%ですから、効き目は小さくありません。

伸びは早い段階で鈍る

ただし伸び方は一定ではありません。70%の行を見ると、3回で82.8%まで上がるのに、9回にしても97.8%です。3回への投資がいちばん効いています。

費用は回数に比例します。ですから9回に増やすかどうかは、残りの数%をどれだけ欲しいかで決まります。

50%を切ると逆に下がる

下の表が本題です。1回40%の場合、9回の多数決で26.3%まで下がりました。回数を増やすほど悪くなっています。

理由は多数決の性質そのものです。最も多く出た答えを採るのですから、誤答のほうが多く出る問いでは、誤答が確実に選ばれます。回数を増やすほど、その確実さが増していきます。

同じ誤りを繰り返す場合

誤答が1種類に集中している場合も効きが落ちます。1回50%では、何回に増やしてもほぼ50%のままでした。

上の表で50%が9回で79.4%まで上がったのは、誤答が3種類に散っていたからです。散っていれば正解が相対的に最多になりますが、集中していればその効果は消えます。

正解率が50%を切ると、回数を増やすほど誤答が確実に選ばれる。

1回3回5回9回1回50%1回60%1回70%1回80%60%未満60〜75%75〜90%90〜97%97%以上20,000回ずつの試行。誤答が3種類に散る場合。1回40%では9回で26.3%まで下がる。
図1 ── 1回の正解率と多数決の回数による、正解率の濃淡
出典Claude Code Docs「Best practices for Claude Code」2026-08-17 確認
A fresh context improves code review since Claude won’t be biased toward code it just wrote.
原文Claude Code Docs「Best practices for Claude Code」 この内容の有効期限2027-02-17

何回まで増やす価値があるのか

3回から始めます。増やす前に、1回あたりの正解率が50%を超えているかを確かめてください。

自己整合性を使うかどうかは、1回あたりの正解率を測ってから決めます。測らずに回数を増やすと、逆効果になる場合があります。

先に測る

必要なのは1つの数字だけです。同じ問いを何回か解かせて、正解した割合を出します。試験の作り方はシミュレーション評価の記事で扱っています。

50%を切っているなら、多数決に進んではいけません。前の節のとおり、増やすほど悪くなります。

50%を切っている場合の手

  1. 問いの出し方を直す。曖昧な指示が原因のことが多い
  2. 例を添える。形式のばらつきが誤答に見えている場合がある
  3. 外部の情報を渡す。知らないことは何回解かせても分からない
  4. 回数を増やす。この段階では逆効果

2番目はFew-shotの記事で、3番目はツール利用の記事で扱っています。いずれも回数を増やすより先に効きます

費用と釣り合うか

回数はそのまま費用になります。3回なら3倍、9回なら9倍です。誤答が出たときの後始末より安いかどうかで判断してください。

誤答が人手での訂正で済むなら、多数決は割に合わないかもしれません。逆に誤答が外部に出てしまう構成なら、3倍の費用は安いことになります。

割れた場合の扱い

多数決には、僅差で決まった場合も同じ扱いになるという弱点があります。5回中3対2と5回中5対0を区別しません。

ですから割れ方も記録し、僅差なら人に回す作りにしておくと安全です。承認の設計はHITLの記事で扱っています。

50%を切っているなら、回数を増やす前に問いのほうを直す。

充足 2 / 41回あたりの正解率を測ってある測らずに回数を増やすと、50%を切っている場合に逆効果になるその正解率が50%を超えている1回70%なら3回で82.8%まで上がる。1回40%は9回で26.3%に下がる毎回同じ答えが返る設定でよいばらつかなければ何回解かせても多数決の結果は変わらない僅差でも多数決の結果を採る5回中3対2と5対0を区別しない。僅差は人に回すほうが確実多数決に進む前の点検項目。20,000回ずつの試行にもとづく。
図2 ── 多数決に進むかどうかの判断
出典Claude Code Docs「Best practices for Claude Code」2026-08-17 確認
Beyond parallelizing work, multiple sessions enable quality-focused workflows.
原文Claude Code Docs「Best practices for Claude Code」 この内容の有効期限2027-02-17

よくある質問

何回にするのが適切ですか
実測では3回で大きく上がり、そこから先は伸びが鈍ります。1回の正解率が高いほど、少ない回数で足りると考えてよいでしょう。なお回数はそのまま費用に効いてきます。
なぜ50%を切ると逆効果になるのですか
多数決は最も多く出る答えを採る仕組みだからです。誤答のほうが多く出る問いでは、回数を増やすほど誤答が確実に選ばれます。
同じ誤りを繰り返す場合はどうなりますか
誤答が1種類に集中すると効きが落ちます。実測では、1回50%の場合に何回増やしてもほぼ50%のままでした。
毎回同じ答えが返る設定でも使えますか
使えません。答えが毎回同じなら、何回解かせても多数決の結果は変わりません。答えがばらつくことが前提になります。

まとめ

  • 自己整合性は複数回解かせて多数決を取る方法
  • 1回70%は3回で82.8%、9回で97.8%まで上がった
  • 1回40%では9回で26.3%まで下がった
  • 前提は正解が最も多く出ることで、そこが崩れると逆効果

今日から始められること

  1. 答えがばらつく処理について、1回あたりの正解率を測る
  2. 50%を超えているか確かめる。超えていなければ別の手を打つ
  3. 3回の多数決で足りるかを試す
  4. 回数ぶんの費用が、誤答の後始末より安いかを比べる

実務で組んだ自己整合性のワークフローには、値段が付きます

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