AIに「日付を返して」と頼むと、返ってくる形は一定しません。ハイフン区切り、スラッシュ区切り、和暦まじり。並べてみると7通りありました。
説明を詳しくしても3通りまでしか絞れません。ところが例を3つ添えると1通りに収まりました。代わりに指示のトークンは5.5倍になります。
してほしいことを説明するかわりに、入力と出力の組を例として見せます。形式を伝えるのに向いた書き方です。
Few-shotは、してほしいことを言葉で説明せず、入力と出力の組を例として示す書き方です。日本語では例示とも呼ばれます。
言葉で書きにくい部分が伝わるためです。「ゼロ埋めのハイフン区切り、月と日は2桁」と書くより、2026-08-17 と1つ見せるほうが速く正確に伝わります。
Anthropicも、丁寧に作られた少数の例は正確さと一貫性を高めるとしています。これがfew-shot、あるいはmultishotと呼ばれる書き方です。
同じ文書には、最良の結果を得るには3〜5個の例を含めると書かれています。1個でも効きますが、揺れの幅を絞りきれないことがあります。
選び方も指示されていて、実際の使い方に近いものを選ぶことと、例どうしが互いに違う場面を含むことが挙げられています。似た例を並べても幅は狭まりません。
例は指示と混ざらないよう、区切って置いてください。毎回同じ例を使うならシステムプロンプトに、依頼ごとに変えるなら会話のほうに置きます。
運用していて困ったのは、仕様が変わったのに例だけ古いまま残ることでした。説明文は直したのに例は直っておらず、出力は例のほうに従います。編集部では、例に日付を添えて古さが見えるようにしています。
A few well-crafted examples (known as few-shot or multishot prompting) improve accuracy and consistency.原文Claude Platform Docs「Prompting best practices」 この内容の有効期限2027-02-17
表記ゆれを7通り並べて整理しました。説明を詳しくしても3通り、例を3つ添えると1通りに収まります。
Few-shotがどこまで効くのかを、指定の仕方ごとに整理しました。題材は「日付を返して」と頼んだときに出てきうる表記です。
断っておくと、これはモデルに出力させた実測ではありません。出てきうる表記を並べ、指定ごとに候補がどこまで絞られるかを置いた整理です。置いた値はコードに書いてあります。
const OUTPUTS = [
'2026-08-17', '2026/08/17', '2026年8月17日', 'Aug 17, 2026',
'17/08/2026', '2026-8-17', '20260817',
];
// 受け入れたい形式(ゼロ埋めのハイフン区切り)だけを通す判定
const ACCEPT = /^\d{4}-\d{2}-\d{2}$/;
指定の仕方 出てきうる表記 通る 指示のトークン 説明だけ(日付を返して) 7通り 1/7 8 tok 説明を詳しく(ハイフン区切りで) 3通り 1/3 24 tok 例を1つ添える 2通り 1/2 20 tok 例を3つ添える 1通り 1/1 44 tok 候補の幅: 7通り → 1通り 指示のトークン: 8 tok → 44 tok(5.5倍)
説明と例で効き方が違いました。説明を詳しくしても3通りまでしか絞れないのに、例を1つ添えるだけで2通りまで下がります。
残った3通りを見ると理由が分かります。2026-08-17 と 2026-8-17 はどちらもハイフン区切りです。ゼロ埋めするかどうかまで書かないと絞れません。
こうした細部を言葉で網羅するのは骨が折れます。例を1つ見せれば、ゼロ埋めも桁数も同時に伝わります。
代償は入力の長さです。8トークンだった指示が44トークンになりました。この分は依頼のたびに毎回送られます。
説明では細部が書き切れない。例なら1つで伝わる。
Examples are one of the most reliable ways to steer Claude's output format, tone, and structure.原文Claude Platform Docs「Prompting best practices」 この内容の有効期限2027-02-17
3から5個が目安です。ただし数より、互いに違う場面を含めることのほうが効きます。
Few-shotの例の数は、3から5個が目安として示されています。前の節の整理でも、3つで候補が1通りに収まりました。
ただし同じような例を3つ並べても効果は上がりません。絞り込みが効くのは、例どうしが違う場面を含んでいるときです。
日付なら、月初と月末、桁が1桁になる日、年をまたぐ日。こうした境目を含めておくと、揺れやすい部分が先に固まります。
3番目が実務で効いてきます。仕様を変えたのに例を直し忘れると、変更が反映されません。しかも説明文は新しいので、読んだだけでは気づけません。
確実にしたいなら、例だけに頼らず受け入れ判定を実装側に置いてください。前の節の ACCEPT のような判定です。
判定があれば、例から外れた出力が来ても素通りしません。形式を検査する仕組みはガードレールの記事で扱っています。
似た例を3つ並べても幅は狭まらない。境目を含めた例を選ぶ。
Include 3–5 examples for best results.原文Claude Platform Docs「Prompting best practices」 この内容の有効期限2027-02-17
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