推論最適化・実行基盤

プロンプトキャッシュとは|5分に1件だと53.9%、1分に1件だと13.7%

プロンプトキャッシュとは何をするのかどれくらい安くなるのか効かないのはどういうときか

毎回同じ指示や規程を送っているなら、その部分は使い回せます。1分に1件の頻度なら、入力の相当量が13.7%になりました。

ただし頻度が落ちると効きません。5分に1件だと53.9%止まりです。置き直しが740回発生しました。

この記事の要点

  • 1分に1件なら入力の相当量が13.7%
  • 5分に1件だと53.9%
  • 前置き8000トークンなら10.7%
  • 前置き200トークンだと30.8%

5分に1件だと53.9%、1分に1件だと13.7%

到着の頻度を変えて数え上げました。間隔が空くほど置き直しが増え、効果が薄れます。

プロンプトキャッシュがどこから効くのかを、実際に走らせて数えました。前置き2000トークン・問い60トークンという条件です。

価格の条件も置きました。置くときは1.25倍、読み出すときは0.1倍で、保持は5分です。到着の間隔だけを変えています。

javascript
if (t <= cachedUntil) { cacheRead += PREFIX; inTok += QUESTION; }
else { cacheWrite += PREFIX; inTok += QUESTION; }
cachedUntil = t + TTL_MS;

const eq = inTok + cacheWrite * WRITE_MULT + cacheRead * READ_MULT;
text
1分あたりの件数  使い回した回数  置き直した回数  入力の相当量      使わない場合との比
        0.2件           1260回            740回     2,222,000             53.9%
          1件           1980回             20回       566,000             13.7%
          5件           1999回              1回       522,300             12.7%
         20件           1999回              1回       522,300             12.7%
         60件           1999回              1回       522,300             12.7%

上の表を見てください。1分に1件の頻度なら、入力の相当量は13.7%まで下がります。

頻度が落ちると効かない

5分に1件だと53.9%止まりです。置き直しが740回発生しています。

保持は5分なので、間隔が5分前後だと当たり外れが半々になります。外れた場合は割高な置き直しになるので、効果が半分近くまで落ちます。

頻度が高ければ頭打ち

1分に5件より上では12.7%で変わりません。置き直しが1回しか起きないので、これ以上は下がりません。

つまり閾値を超えていれば、頻度をさらに上げても得はありません。判断に必要なのは、5分に1件を超えているかどうかです。

前置きが長いほど効く

text
前置きの長さ  入力の相当量  使わない場合  比
     200トークン       160,230       520,000   30.8%
     500トークン       220,575     1,120,000   19.7%
    1000トークン       321,150     2,120,000   15.1%
    2000トークン       522,300     4,120,000   12.7%
    8000トークン     1,729,200    16,120,000   10.7%

前置きが8000トークンなら10.7%、200トークンだと30.8%です。使い回せない部分の割合が効いています。

5分に1件を超えるかどうかが分かれ目。

単位: %5分に1件53.9%1分に1件13.7%1分に5件12.7%1分に60件12.7%問い合わせ2000件・前置き2000トークンでの数え上げ。使わない場合を100%としている。
図1 ── 到着の頻度と入力の相当量
出典Anthropic ドキュメント「Prompt caching」2026-08-18 確認
The cache is refreshed for no additional cost each time the cached content is used.
原文Anthropic ドキュメント「Prompt caching」 この内容の有効期限2027-02-18

プロンプトキャッシュとは何をするのか

毎回同じ前置きを処理し直さず、途中から再開します。前から順に一致する部分だけが対象です。

プロンプトキャッシュは、毎回同じ前置きを処理し直さずに済ませる仕組みです。

途中から再開する

Anthropicの説明では、指示のなかの特定の接頭辞から再開できるようにすることで、利用を最適化するとされています。繰り返しの作業や、一定の要素を含む指示で処理時間と費用が減ります。

重要なのは接頭辞という点です。前から順に一致している部分だけが対象で、途中に違いがあればそこから先は使えません。

並べる順番が効く

同じ文書は、対象になる順序について道具、指示、やり取りという階層に従うと説明しています。前の段の上に、次の段が積み上がる形です。

  1. 変わらないものを先に置く。指示、規程、例
  2. 変わるものを後ろに置く。利用者の問い
  3. 途中に変わるものを混ぜない。そこから先が使えなくなる
  4. 最小の長さを超える。短すぎると対象にならない

3番目が設計で効きます。日付や利用者名を前置きの途中に入れると、その先が毎回作り直しになります。

最小の長さがある

短い前置きは対象になりません。ドキュメントは使い回せる指示の最小の長さは512トークンから始まるとしており、モデルによってはさらに長い値が必要になります。

前の節で200トークンの効きが小さかったのは割合の問題ですが、実際には最小の長さを下回っていて対象にならない場合もあります。

余談 この計測での注意

前の節は実測ではなく数え上げです。倍率と保持期間を置いて計算しています。実際の倍率は提供元とモデルで変わるので、自分の条件で数え直してください。トークンの数え方はトークン使用量追跡の記事で扱っています。

出典Anthropic ドキュメント「Prompt caching」2026-08-18 確認
Prompt caching optimizes your API usage by allowing resuming from specific prefixes in your prompts.
原文Anthropic ドキュメント「Prompt caching」 この内容の有効期限2027-02-18

使い回せなくなる操作を知っておく

前置きを変えていなくても、周辺の設定を触ると無効になります。何が無効化するかを把握しておく必要があります。

プロンプトキャッシュは思っているより簡単に無効になります。前置きそのものを変えていなくても起きます。

無効になる操作

Anthropicのドキュメントは、階層の考え方としてそれぞれの段への変更は、その段と、それ以降のすべての段を無効にするとしています。道具の定義を触れば、その先の指示もやり取りも作り直しになります。

つまり機能を1つ足しただけで、翌日から効果が消えることがあります。費用が急に上がったとき、この線から疑うことになります。

向いている使い方

同じ文書は、向いている場面として多くの例を含む指示、大量の文脈や背景情報、一定の指示を伴う繰り返しの作業、長い複数回のやり取りを挙げています。

逆に言えば、毎回まったく違う指示を送る使い方には向きません。使い回せる部分がないからです。

確かめること

  1. 使い回せた回数を記録する。返り値に含まれることが多い
  2. 置き直しの回数も見る。増えていれば間隔が空いている
  3. 前置きの長さを数える。最小を超えているか
  4. 設定を変えた日を記録する。無効化との対応を追える

1番目と2番目を分けて記録してください。合計だけ見ていると、置き直しが増えていることに気づけません

前の節の数え上げでも、5分に1件のときは740回が置き直しでした。この内訳が見えないと、効いていないことが分かりません。

前置きを変えなくても、周辺の設定で無効になる。

充足 2 / 4変わらない部分を先頭に寄せている前から順に一致する部分だけが対象。途中に変わるものを混ぜると使えない使い回しと置き直しを分けて記録している合計だけでは、間隔が空いて置き直しが増えたことに気づけない設定を触っても影響しないと考えている道具の定義や画像、思考の指定を変えると無効になる短い前置きでも効くと考えている最小の長さがあり、モデルによって512から4,096トークン前置き2000トークンでの数え上げにもとづく。5分に1件だと置き直しが740回発生した。
図2 ── 使い回しを入れるときの点検項目
出典Anthropic ドキュメント「Prompt caching」2026-08-18 確認
Changes at each level invalidate that level and all subsequent levels.
原文Anthropic ドキュメント「Prompt caching」 この内容の有効期限2027-02-18

よくある質問

どれくらい安くなりますか
頻度によります。この数え上げでは、1分に1件で13.7%、5分に1件で53.9%でした。
なぜ頻度で変わるのですか
保持の期間を過ぎると置き直しになるためです。置くときは通常より割高なので、間隔が空くほど損が出ます。
短い前置きでも効きますか
効きは小さくなります。200トークンで30.8%、8000トークンで10.7%でした。最小の長さも決まっています。
途中で内容を変えたらどうなりますか
その段と、それ以降のすべてが無効になります。道具の定義を触れば、指示もやり取りも作り直しです。

まとめ

  • 同じ前置きを使い回す仕組み
  • 1分に1件なら入力の相当量が13.7%
  • 5分に1件だと53.9%止まり
  • 前置きが長いほど効きが大きい

今日から始められること

  1. 毎回同じ内容を送っている部分を数える
  2. その部分が最小の長さを超えているか確かめる
  3. 問い合わせの間隔を測る
  4. 変わる部分を後ろに寄せる

実務で組んだプロンプトキャッシュのワークフローには、値段が付きます

同じ課題を持つ会社にとって、動いている設定は「作る時間」を買えるということです。ServiceDockは自作のワークフローやテンプレートを出品できるマーケットプレイスです。手数料や出品の流れは出品者向けページにまとまっています。

出品の仕組みを見る