GPU・HPCインフラ

VRAM見積とは|7B相当の重みは13.0GB、KVキャッシュは2048.0GBまで膨らんだ

VRAM見積では何を足すのか量子化でどこまで減るのか文脈長を伸ばすと何が起きるのか

7B相当のモデルの重みは、16ビットで13.0GBです。24GBのGPUなら余裕に見えます。

ところが文脈長131072・同時32でKVキャッシュを取ると2048.0GBになります。重みの157倍です。

この記事の要点

  • 7B相当の重みは16ビットで13.0GB
  • 4ビットなら3.3GBまで減る
  • KVキャッシュは量子化で減らない
  • 文脈長131072で重みの157倍

重みを4ビットにしても、19.4GBのうち16.0GBはKVキャッシュだった

VRAMは3つに分かれます。量子化で減るのは重みだけで、残りはそのまま残ります。

VRAM見積で足すのは重み・KVキャッシュ・作業領域の3つです。実際に計算して、内訳がどう動くかを見ました。

計算に使った式

javascript
const weightBytes = (m, bits) => (m.params * bits) / 8;

const kvBytes = (m, seq, batch, bits) =>
  2 * m.layers * m.kvHeads * m.headDim * seq * batch * (bits / 8);

層数とヘッド数と次元は、公開されている代表的な構成に合わせて置きました。7B相当は32層、70B相当は80層でKVヘッドが8本です。

内訳を出す

text
推論に要るVRAMの内訳。文脈長 4096 ・同時実行 8
KVキャッシュは16ビットのまま。作業領域は重みの5%として置いた

モデル              刻み      重み    KVキャッシュ   作業領域      合計
7B相当                 16bit    13.0GB        16.0GB      0.7GB    29.7GB
7B相当                  8bit     6.5GB        16.0GB      0.3GB    22.8GB
7B相当                  4bit     3.3GB        16.0GB      0.2GB    19.4GB
13B相当                16bit    24.2GB        25.0GB      1.2GB    50.4GB
13B相当                 8bit    12.1GB        25.0GB      0.6GB    37.7GB
13B相当                 4bit     6.1GB        25.0GB      0.3GB    31.4GB
70B相当(KV共有)          16bit   130.4GB        10.0GB      6.5GB   146.9GB
70B相当(KV共有)           8bit    65.2GB        10.0GB      3.3GB    78.5GB
70B相当(KV共有)           4bit    32.6GB        10.0GB      1.6GB    44.2GB

7B相当の重みは、16ビットの13.0GBから4ビットの3.3GBまで下がります。4分の1になります

ところが合計は29.7GBから19.4GBまでしか下がりません。KVキャッシュの16.0GBが動かないからです。

70B相当のほうがKVは小さい

70B相当のKVキャッシュは10.0GBで、7B相当の16.0GBより小さくなっています。KVヘッドを8本に絞った構成だからです。

モデルが大きいほどKVも大きい、とは限りません。KVを決めるのは層数とKVヘッドの数です。

出典もキャッシュの扱いをメモリを節約するキャッシュは、速度と引き換えにメモリ使用量を減らすことに主眼を置いていると説明しています。減らす手はありますが、無料ではありません。

量子化で減るのは重みだけ。KVキャッシュは残る。

16bit重み13KVキャッシュ16作業領域29.7GB8bit6.51622.8GB4bit3.31619.5GB文脈長4096・同時実行8での計算。KVキャッシュは16ビットのままとした。
図1 ── 7B相当のVRAM内訳
出典Hugging Face Transformers「Cache strategies」2026-08-18 確認
Memory efficient caches focus on trading off speed for reduced memory usage.
原文Hugging Face Transformers「Cache strategies」 この内容の有効期限2027-02-18

どのGPUに載るかは、刻みで入れ替わる

同じモデルでも刻みを変えると、収まるGPUが変わります。先に条件を決めないと選べません。

VRAM見積の目的は買う前に載るかどうかを知ることです。同じ条件で、よくある容量と比べました。

text
モデル              刻み      24GB    48GB    80GB
7B相当                 16bit    載らない      載る      載る
7B相当                  8bit      載る      載る      載る
7B相当                  4bit      載る      載る      載る
13B相当                16bit    載らない    載らない      載る
13B相当                 8bit    載らない      載る      載る
13B相当                 4bit    載らない      載る      載る
70B相当(KV共有)          16bit    載らない    載らない    載らない
70B相当(KV共有)           8bit    載らない    載らない      載る
70B相当(KV共有)           4bit    載らない      載る      載る

7B相当は16ビットのままだと24GBに載りません。合計29.7GBだからです。8ビットにすれば載ります

13B相当は刻みでは救えない

13B相当は4ビットにしても24GBに載りません。KVキャッシュの25.0GBだけですでに容量を超えているからです。

この場合は刻みではなく、同時実行数か文脈長を下げるしかありません。減らす対象を間違えると効きません

決める順番

  1. 文脈長。業務で必要な長さを決める
  2. 同時実行数。ピーク時に何本流すかを決める
  3. KVキャッシュ。上の2つから計算する
  4. 刻み。残った枠に重みが入るかで決める

出典はメモリの制約についてこれは大規模言語モデルにとって、またハードウェアのメモリが制約されている場合にとりわけ重要であると述べています。枠が先で、モデルが後です。

出典Hugging Face Transformers「Cache strategies」2026-08-18 確認
This is especially important for large language models (LLMs) and if your hardware is memory constrained.
原文Hugging Face Transformers「Cache strategies」 この内容の有効期限2027-02-18

文脈長131072・同時32で、KVキャッシュは重みの157倍になった

KVキャッシュは文脈長にも同時実行数にも比例します。両方を伸ばすと掛け算で増えます。

VRAM見積で最も外しやすいのがKVキャッシュの伸び方です。文脈長と同時実行数を動かして計算しました。

text
【7B相当】
文脈長               同時1         同時8        同時32
2048               1.0GB       8.0GB      32.0GB
8192               4.0GB      32.0GB     128.0GB
32768             16.0GB     128.0GB     512.0GB
131072            64.0GB     512.0GB    2048.0GB

【70B相当(KV共有)】
文脈長               同時1         同時8        同時32
2048               0.6GB       5.0GB      20.0GB
8192               2.5GB      20.0GB      80.0GB
32768             10.0GB      80.0GB     320.0GB
131072            40.0GB     320.0GB    1280.0GB

7B相当の重みは16ビットで13.0GBです。表の右下は2048.0GBで、重みの157倍にあたります。

「小さいモデルだから安く済む」という見立てが、ここで崩れます。重みの大きさは規模の一部でしかありません

掛け算で増える

文脈長を4倍にすると4倍、同時実行数を4倍にするとさらに4倍です。両方を4倍にすれば16倍になります。

表の中でも、2048と同時1の1.0GBから、8192と同時8の32.0GBまで32倍に増えています。刻みを変えても、この部分は動きません。

逃がす手はある

収まらないときの手として、出典はキャッシュの退避は、1つを除くモデル各層のKVキャッシュをCPUへ移すことでGPUメモリを節約すると説明しています。

移した先から戻す時間がかかるので、速度は落ちます。KVキャッシュの記事では、キャッシュを効かせたときの速度差を測っています。

KVキャッシュは、文脈長と同時実行数の掛け算で増える。

単位: GB文脈長 1310722048GB文脈長 32768512GB文脈長 8192128GB文脈長 204832GB16ビットでの計算。同じ条件で重みは13.0GB、作業領域は0.7GBだった。
図2 ── 7B相当のKVキャッシュ(同時32)
余談 この計測での注意

モデルの形は計算に必要な数だけを置いたものです。実在の重みではなく、層数・ヘッド数・次元を代表的な構成に合わせています。実装によっては断片化や確保単位の影響でさらに増えます。ここで見せているのは、内訳のどこが何に比例するかという関係です。

出典Hugging Face Transformers「Cache strategies」2026-08-18 確認
Offloading the cache saves GPU memory by moving the KV cache for model layers except one to the CPU.
原文Hugging Face Transformers「Cache strategies」 この内容の有効期限2027-02-18

よくある質問

VRAM見積では何を足しますか
重み・KVキャッシュ・作業領域の3つです。この計測では作業領域を重みの5%として置きました。
量子化すればメモリは足りますか
重みは減りますがKVキャッシュは別です。7B相当を4ビットにしても、この計測では合計19.4GBのうち16.0GBがKVキャッシュでした。
70B相当は80GBのGPUに載りますか
16ビットでは載りません。この計測では146.9GBになりました。8ビットなら78.5GBで収まります。
文脈長はどこまで伸ばせますか
メモリで決まります。7B相当で同時32なら、文脈長8192で128.0GB、32768で512.0GBになりました。

まとめ

  • 重み・KV・作業領域を足す
  • 量子化が効くのは重みだけ
  • KVは文脈長と同時数に比例
  • 先に決めるのは文脈長と同時数

今日から始められること

  1. 使うモデルの層数とヘッド数を調べる
  2. 業務で要る文脈長と同時実行数を決める
  3. その条件でKVキャッシュを計算する
  4. 重みと足してGPUの容量と比べる

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