既存の自動化にAIの判定を1つ足すのは簡単です。ノードを挿すだけで済みます。ところがどこに挿すかで、誤ったときの被害が変わります。
5工程のフローで数えたところ、判定を前に置いた場合は誤りに気づいた時点でDBの更新とメールの送信がすでに終わっていました。
5工程のフローで数えました。前に置くと取り消せない操作が2個実行済み、後ろに置けば0個です。
n8n AIノードをフローのどこに挿すかで何が変わるのかを、実際に数えました。題材はフォーム受信から記録までの5工程で、うち2つは取り消せない操作です。
判定は実際に実行しています。フローの定義も、どの工程が取り消せないかもコードに書いてあり、そこを変えれば結果も変わります。
// 既存の自動化フロー。irreversible は取り消せない操作かどうか
const FLOW = [
{ name: 'フォーム受信', irreversible: false },
{ name: '取引先を照合', irreversible: false },
{ name: '基幹DBを更新', irreversible: true },
{ name: '担当者へメール', irreversible: true },
{ name: '記録に残す', irreversible: false },
];
// AIの判定が誤っていた場合、誤りに気づくのは最後の工程が終わったあととする。
// そのとき、AIノードより後ろで実行済みの取り消せない操作を数える
function impact(flow) {
const aiAt = flow.findIndex((s) => s.isAi);
const after = flow.slice(aiAt + 1);
return { redo: after.length, irreversible: after.filter((s) => s.irreversible).length };
}
挿す位置 やり直す工程 実行済みの取り消せない操作 先頭 5工程 2個 基幹DBを更新・担当者へメール 「フォーム受信」の直後 4工程 2個 基幹DBを更新・担当者へメール 「取引先を照合」の直後 3工程 2個 基幹DBを更新・担当者へメール 「基幹DBを更新」の直後 2工程 1個 担当者へメール 「担当者へメール」の直後 1工程 0個 「記録に残す」の直後 0工程 0個
前の3つがそろって2個です。判定が誤っていたと分かるころには、DBが書き換わり、担当者にメールが届いています。
DBの更新は書き戻せる場合があります。ところが送ってしまったメールは戻せません。誤った担当者に誤った内容が届いた事実は残ります。
この差は表の数字には出ません。ですから「取り消せない操作」に印を付ける作業を、フローを組む前にやっておく必要があります。
後ろに置くほど数字は減ります。メール送信の直後に置けば0個です。ただし、そこまで進んだ後に判定させても使い道がありません。
判定は分岐のために使うものですから、分岐すべき工程より前に置く必要があります。安全な位置と、役に立つ位置が逆になっています。
この行き違いを解くのが承認です。取り消せない操作の直前で止めれば、AIをどこに挿しても実行済みは0個になります。
代わりに承認の回数が発生します。1日1000件なら1000回です。承認の設計はHITLの記事で、確認が多すぎると読まずに押すようになる問題は権限モデルの記事で扱っています。
安全な位置と、役に立つ位置が逆になる。承認で断ち切る。
An AI agent is an autonomous system that receives data, makes rational decisions, and acts within its environment to achieve specific goals.原文n8n Docs「AI Agent」ノード この内容の有効期限2027-02-18
既存のフローの中にAIの判定を1つの工程として置けます。モデルと道具をつないで使います。
n8n AIノードは、既存の自動化フローの中に、AIの判定を1つの工程として組み込むための部品です。
ドキュメントでは、対話用のモデルと1つ以上の道具をつなぐと、仕事を終えるためにどの道具を呼ぶかをエージェントが決めると説明されています。
道具は最低1つ必要です。つないでいないと動きません。道具を渡して呼ばせる考え方はツール利用の記事で扱っています。
同じ文書では、データを受け取り、筋の通った判断をし、目的を達するために環境の中で行動する自律した仕組みだと定義されています。
つまりこのノードの中では、どの道具をどう使うかがこちらの制御を離れます。フローの他の工程とは性質が違うという点を押さえておいてください。
利点は、すでに動いている自動化に1工程足すだけで済むことです。全体を作り直す必要がありません。
ただし足した1工程だけが揺れます。決まった手順の中にAI任せの段を混ぜたときの再現性はLangGraphの記事で数字とともに扱っており、1段混ぜるだけで一致率が84.3%まで落ちました。
組んでみて有効だったのは、AIを入れる前に、既存フローの取り消せない工程に印を付けておくことでした。印より前にAIを置くなら承認が要る、と機械的に決められます。前の節の表は、この印だけで作れます。
Connect a chat model and one or more tools, and the agent decides which tools to call to complete a task.原文n8n Docs「AI Agent」ノード この内容の有効期限2027-02-18
承認を1か所に置き、そこまでは取り消せる操作だけにします。承認の回数は実行件数と同じになります。
n8n AIノードを組み込んだフローの備えは、取り消せない操作をどこで止めるかに集約されます。
承認を置く前に検討したいのが、工程の並べ替えです。取り消せない操作を後ろに寄せられれば、承認は1か所で済みます。
前の節のフローでも、DBの更新とメール送信が3番目と4番目に並んでいるからこそ、その手前1か所で止められます。散らばっていると、止める場所も増えます。
3番目が実際的です。すべてに承認を求めるのではなく、条件に当たる分だけ止める形にすれば、回数を現実的な水準に保てます。
承認を置いても、誤りが起きたときにAIが何を見て何を判定したかが残っていなければ直せません。
入力と判定結果を記録に残してください。記録の設計はエージェント可観測性の記事で扱っています。
止める場所は1か所にする。散らばると承認も散らばる。
You must connect at least one tool sub-node to an AI Agent node.原文n8n Docs「AI Agent」ノード この内容の有効期限2027-02-18
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