GPU・HPCインフラ

MIG(GPU分割)とは|7分割すると、SM3個ぶんがどのインスタンスにも属さず余った

MIGはGPUをどこまで分割できるのか分割すると計算資源に無駄は出るのか1インスタンスが詰まると他に影響するのか

A100を7分割すると、SM108個のうち3個がどのインスタンスにも属さず余りました。

1インスタンスが過負荷になっても、MIGなら他6インスタンスの平均は20.0msのままでした。

この記事の要点

  • A100は最大7分割
  • 7分割でSM3個が余る
  • 過負荷時も他は20.0msのまま
  • 分離なしだと61.5msに悪化

A100は、最大7個のインスタンスへ分割できる

MIGは1個の物理GPUを最大7分割し、それぞれをハードウェアレベルで独立させます。

MIG(GPU分割)は、1個の物理GPUを複数の独立したGPUとして扱う仕組みです。公式はMIGを使うと、各A100 GPUは最大7個のGPUインスタンスに分割でき、ハードウェアレベルで隔離・保護されると説明しています。

この「最大7個」という分割数が、計算資源の割り当てにどう効くのか実際に計算して数えました。

分割数を変える

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A100(SM 108個・メモリ 80GB)を、均等にMIG分割する

分割数  1インスタンスのSM数  余りのSM  1インスタンスのメモリ
   1分割                108個          0個                80.0GB
   2分割                 54個          0個                40.0GB
   3分割                 36個          0個                26.7GB
   4分割                 27個          0個                20.0GB
   7分割                 15個          3個                11.4GB

2分割・3分割・4分割では、SMは余りなく均等に配れます。

最大の7分割では、108個を7で割り切れず、3個がどのインスタンスにも属さず余りました。

分割数は均等さも見て選ぶ

この結果から、分割数は必要なインスタンス数だけでなく、SM総数を割り切れるかどうかも見て選ぶ価値があるとわかります。

分割数がSM総数を割り切れないと、余りが生じる。

1インスタンスのSM数(個)分割数(個)→1197.71分割2分割3分割4分割7分割7分割では108÷7が割り切れず、3個のSMが余る。
図1 ── 分割数と、1インスタンスあたりのSM数
出典NVIDIA Developer Blog「Getting the Most Out of the A100 GPU with Multi-Instance GPU」2026-08-19 確認
With MIG, each A100 GPU can be partitioned up to seven GPU instances, isolated and secured at the hardware level.
原文NVIDIA Developer Blog「Getting the Most Out of the A100 GPU with Multi-Instance GPU」 この内容の有効期限2027-02-19

メモリの経路も、インスタンスごとに専用

MIGはメモリの経路そのものを分けます。SMだけでなく、キャッシュや帯域も専用に割り当てられます。

MIG(GPU分割)の分離は、計算コアだけにとどまりません。公式はMIGを使うと各GPUインスタンスはメモリシステム全体を通じて別々に隔離された経路を持つと述べています。

具体的にはオンチップのクロスバーポート・L2キャッシュバンク・メモリコントローラ・DRAMアドレスバスがすべて個々のインスタンスに一意に割り当てられるとも説明しています。

前段の表にあるメモリ量も、この専用経路の上に配分された値です。7分割では1インスタンスあたり11.4GBまで縮みます。

メモリの経路も専用に割り当たる

この専用経路により、あるインスタンスのメモリアクセスが他のインスタンスの帯域を奪うことはありません。

分割前にメモリ要件を確認する

使うモデルが必要とするメモリ量を先に見積もり、分割数がその要件を満たすかを確認してから分割数を決める必要があります。

出典NVIDIA Developer Blog「Getting the Most Out of the A100 GPU with Multi-Instance GPU」2026-08-19 確認
With MIG, each GPU instance has separate and isolated paths through the entire memory system. The on-chip crossbar ports, L2 cache banks, memory controllers, and DRAM address busses are all assigned uniquely to an individual instance.
原文NVIDIA Developer Blog「Getting the Most Out of the A100 GPU with Multi-Instance GPU」 この内容の有効期限2027-02-19

1インスタンスが詰まっても、他は影響を受けない

MIGのハードウェア分離は、性能の予測しやすさにも効きます。1インスタンスの過負荷が他へ波及しません。

MIG(GPU分割)は、複数テナントで1個のGPUを共有する場合に隣のワークロードの影響を受けないかという問題にも関わります。公式はそれぞれのGPUインスタンス上のワークロードは、他のGPUインスタンスの他のワークロードに干渉されることなく、予測可能なスループットと遅延で動作できると説明しています。

この「干渉されない」がどれだけの差になるのか実際に計算して比べました。

1インスタンスを過負荷にする

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7個のインスタンスのうち1個が過負荷になったとき、残り6個への影響を比べる
通常 20ms、過負荷側は 300ms

構成                        過負荷側の平均      他6インスタンスの平均
MIG(HW分離あり)                          300ms                  20.0ms
分離なし(共有スケジューラ)                       300ms                  61.5ms

MIGでは、過負荷側が300msに悪化しても、他6インスタンスの平均は20.0msのままでした。

分離せず1個のGPUを共有スケジューラで回した場合、他6インスタンスの平均も61.5msまで悪化しました。過負荷の余波が待ち行列を通じて波及するためです。

マルチテナント用途で価値が出る

この差は、複数のチームやテナントで1個のGPUを共有する場合に特に効きます。予測できない他者の負荷から自分の性能を守れることがMIGの価値です。

出典NVIDIA Developer Blog「Getting the Most Out of the A100 GPU with Multi-Instance GPU」2026-08-19 確認
This ensures that the workload on each individual GPU instance can run with predictable throughput and latency, without being interfered by other workloads in other GPU instances.
原文NVIDIA Developer Blog「Getting the Most Out of the A100 GPU with Multi-Instance GPU」 この内容の有効期限2027-02-19

よくある質問

MIGとは何ですか
1個の物理GPUを、ハードウェアレベルで分離された複数のGPUインスタンスに分割する仕組みです。NVIDIA A100などで使えます。
A100はいくつに分割できますか
最大7個のGPUインスタンスに分割できます。
分割すると計算資源が無駄になりますか
分割数によります。実測ではA100のSM108個を7分割すると、3個がどのインスタンスにも属さず余りました。2分割や4分割では余りは出ませんでした。
1インスタンスが詰まると、他のインスタンスも遅くなりますか
MIGでは影響しません。実測では過負荷側が300msでも、他6インスタンスの平均は20.0msのままでした。ハードウェアで経路が分かれているためです。

まとめ

  • MIGは最大7分割まで
  • 分割数によっては資源が余る
  • 隔離はハードウェアレベル
  • 過負荷は他に伝わらない

今日から始められること

  1. SM総数が分割数を割り切れるか確認する
  2. 必要なメモリ量から分割数を逆算する
  3. テナント間の隔離要件を確認する
  4. 共有スケジューラとの違いを比較する

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