データ基盤

データ品質とは|検査を5つ重ねても、2006件は形が正しいまま素通りした

データ品質の検査はどこまで届くのか検査で止まらない不良はあるのか気づくのが遅れると何が変わるのか

申請の行2万件に不良を入れ、検査を5つ重ねました。止められたのは71.7%です。

残り2006件は形としては正しいので、どの検査にも引っかかりませんでした。

この記事の要点

  • 検査5つで検出率71.7%
  • 止まらない不良が2006件
  • 正常なのに止めたのが596件
  • 気づく場所で手戻りが14倍

検査を5つ重ねて、止められたのは71.7%だった

検査は1つずつ届く範囲が違います。重ねるほど増えますが、頭打ちがあります。

データ品質の検査を1つずつ足すと、どこまで届くのかを実際に数えました。

申請の行を2万件用意し、7種類の不良を混ぜました。壊れている行は7079件で、全体の35.4%です。

検査は上から順に足します。1つでも引っかかれば、その行は止まります。

検査を足していく

text
受け取った行 20000件。壊れている行 7079件(35.4%)
うち 2006件は、形としては正しいので検査では拾えない

足した検査                    止めた件数  正しく止めた  誤って止めた  検出率
必須の項目が入っているか                     1069件         1069件            0件    15.1%
型が合っているか                         2109件         2109件            0件    29.8%
範囲に収まっているか                       3159件         3159件            0件    44.6%
一覧にある値か                          4902件         4306件          596件    60.8%
重複していないか                         5669件         5073件          596件    71.7%

1つ目の検査で15.1%が止まります。5つ重ねると71.7%まで上がりました。

出典も検査の性質をそれぞれの規則は、データの鮮度や整合性といった特定の性質を検査するとしています。1つの規則が見るのは1つの性質です。

足すほど増える

検査ごとの上積みは、おおむね15ポイント前後です。不良の種類を均等に混ぜたためです。

実際の場では、種類ごとの件数が偏ります。多い種類を拾う検査から足すほうが、早く効きます

検査を重ねると検出率は上がるが、100%には届かない。

%71.70必須範囲一覧重複5つ重ねた到達点 71.7%検出率行2万件・壊れている行7079件での実測。検査は左から順に足している。
図1 ── 検査を足したときの検出率
出典AWS「AWS Glue Data Quality」(AWS Glue 開発者ガイド)2026-08-18 確認
Each rule checks for particular characteristics like data freshness or integrity.
原文AWS「AWS Glue Data Quality」(AWS Glue 開発者ガイド) この内容の有効期限2027-02-18

検査を5つ重ねても、2006件は形が正しいまま素通りした

形の検査は、形の誤りしか見つけません。中身が業務として誤っている行は、そのまま通ります。

データ品質の検査で止まらない不良があります。どの種類が止まらないのかを分けて数えました。

text
不良の種類        件数      必須の項目が    型が合ってい    範囲に収まっ    一覧にある値    重複していな  止まらない
欠けている           1009件       1009件        0件        0件        0件        0件          0件
型が違う             997件          0件      997件        0件        0件        0件          0件
範囲の外            1002件          0件        0件     1002件        0件        0件          0件
参照先にない          1064件          0件        0件        0件     1064件        0件          0件
重複              1001件         60件       43件       48件       83件      767件          0件
桁が違う            1003件          0件        0件        0件        0件        0件       1003件
日付が未来           1003件          0件        0件        0件        0件        0件       1003件

下2行を見てください。桁違いと未来の日付は、どの検査にも止まりません。合わせて2006件です。

桁違いは、単位を取り違えて1000倍になった金額です。数値であり、正でもあるので形の検査は通ります。

未来の日付も同じです。日付として正しい形なので、その日付があり得るかどうかは業務の知識になります。

目的に足りているか

出典は品質という語をデータの集まりが、その特定の目的にどれだけよく資するかを表すと定義しています。

形が正しいことと、目的に足りていることは別です。この2006件は、形としては完璧です。

正常なのに止まる

逆の間違いも起きています。4つ目の検査を足した時点で、596件を誤って止めました

今月から増えた部署が、検査の持つ一覧に入っていなかったためです。検査の側が古くなるという壊れ方です。

形の検査は、形の誤りにしか届かない。

必須範囲一覧重複欠けている型が違う範囲の外参照先にない桁が違う日付が未来止まらない止まる行2万件での実測。下2行は形として正しいため、どの検査にも止まらない。
図2 ── 不良の種類と検査の対応
出典AWS「AWS Glue Data Quality」(AWS Glue 開発者ガイド)2026-08-18 確認
Describes how well a dataset serves its specific purpose.
原文AWS「AWS Glue Data Quality」(AWS Glue 開発者ガイド) この内容の有効期限2027-02-18

気づく場所が下がるほど、手戻りは14倍になる

止められた分の手間は変わりません。すり抜けた分だけが、気づいた場所に応じて増えます。

データ品質の効果は、手戻りの差で測れます。すり抜けた2006件がどこで見つかるかで計算しました。

1件あたりの手直しを、気づいた場所ごとに置きました。受け取った直後なら5分、報告に出たあとなら240分です。

気づく場所を動かす

text
受け取った行 20000件。壊れている行 7079件のうち、検査で止められたのは 5073件
止められなかった 2006件は、下流のどこかで気づくことになる

気づいた場所      1件あたりの手直し  止めた分の手間  すり抜けた分の手間  合計
受け取った直後                       5分           423時間               167時間     590時間
整形したあと                       20分           423時間               669時間    1091時間
集計したあと                       60分           423時間              2006時間    2429時間
報告に出たあと                     240分           423時間              8024時間    8447時間

止めた分の手間は423時間で一定です。受け取った直後に戻すので、場所によりません。

動くのはすり抜けた分です。167時間から8024時間まで、48倍に増えます。

合計では590時間から8447時間で、約14倍です。同じ2006件でも、気づく場所で桁が変わります。

判断のために測る

出典も目的をデータの品質を測り、監視することで、良い業務上の判断ができるようにするとしています。

この表でいえば、検査を1つ足す価値は、その検査が拾う件数×手戻りの差です。件数だけでは決められません。

桁違いを拾う検査を足せば1003件が上流で止まります。報告まで出ていた場合、4012時間ぶんの差になります。取り込みの前段で変更を拾う話はCDCの記事で扱っています。

同じ件数でも、気づく場所で手戻りが桁で変わる。

単位: 時間報告に出たあと8447時間集計したあと2429時間整形したあと1091時間受け取った直後590時間行2万件・すり抜け2006件での計算。止めた5073件ぶんの423時間を含む。
図3 ── 気づいた場所ごとの合計の手間
余談 この計測での注意

1件あたりの手直しの時間は置いた値です。実際には不良の種類でも変わり、報告の訂正はもっと重いこともあります。不良の割合も7種類をほぼ均等に混ぜた形で、実際は特定の種類に偏ります。ここで見せているのは、形の検査が形の誤りにしか届かないことと、すり抜けた分だけが気づく場所で増えるという関係です。

出典AWS「AWS Glue Data Quality」(AWS Glue 開発者ガイド)2026-08-18 確認
AWS Glue Data Quality allows you to measure and monitor the quality of your data so that you can make good business decisions.
原文AWS「AWS Glue Data Quality」(AWS Glue 開発者ガイド) この内容の有効期限2027-02-18

よくある質問

検査を増やせば全部止まりますか
止まりません。この計測では5つ重ねて71.7%で、桁違いや未来の日付は形が正しいため素通りしました。
正常なデータが止まることはありますか
あります。この計測では、検査が持つ部署の一覧が古かったため596件を誤って止めました。
気づくのが遅れるとどうなりますか
手戻りが増えます。この計測では、受け取った直後の590時間が、報告に出たあとでは8447時間になりました。
形が正しい不良はどう見つけますか
業務の側の知識が要ります。金額の桁や日付の範囲を、業務の常識と突き合わせる検査を別に足します。

まとめ

  • データが目的に足りているかを保つ
  • 形の検査では3割が素通り
  • 検査の一覧が古いと正常を止める
  • 遅く気づくほど手戻りが増える

今日から始められること

  1. 止まった行を種類ごとに数える
  2. 止まらずに下流で見つかった不良を数える
  3. その不良がどこで気づかれたかを記録する
  4. 気づく場所を1段上げられないか検討する

実務で組んだデータ品質のワークフローには、値段が付きます

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