GPU・HPCインフラ

AMD GPUとは|自動変換できる割合が95%でも、手作業に614分かかった

CUDAコードはどこまで自動で変換できるのかHIP相当のないライブラリがあるとどうなるのか移行にかかる時間はどう見積もるか

自動変換できた割合が95%でも、残り20箇所の手作業に614分かかりました。

自動変換の割合が50%まで下がると、手作業なしの場合の0.52倍まで時間が伸びます。

この記事の要点

  • 自動変換95%でも614分の手作業
  • 自動変換50%で0.52倍まで伸びる
  • HIP相当85%でも52時間の置き換え
  • 全部手作業よりは常に速い

ROCmは、AMD GPUを動かす一式のツール群

ROCmはランタイム・コンパイラ・ライブラリをまとめたAMDのソフトウェアスタックです。

AMD GPUでAIを動かす基盤がROCmです。公式はAMD GPUをプログラムするために必要なツールを提供し、ランタイム・コンパイラ・性能とシステムのユーティリティ・最適化された数学と計算のライブラリを含むと説明しています。

多くのAIコードはもともとNVIDIA向けのCUDAで書かれています。ROCmでは、これをHIPという仕組みで動かします。

HIPがCUDAとの橋渡しをする

HIPはCUDAに近いAPIを持ち、既存のCUDAコードをAMD向けへ移す役割を担います。

移行の手間は次段で実測する

次のセクションでは、この移行がどれだけの手間になるのか実測します。

出典AMD ROCm 公式ドキュメント「What is ROCm?」2026-08-19 確認
It provides the tools needed to program AMD GPUs — including runtimes, compilers, performance and system utilities, and optimized math and compute libraries.
原文AMD ROCm 公式ドキュメント「What is ROCm?」 この内容の有効期限2027-02-19

自動変換95%でも、残り20箇所に614分かかる

HIPIFYはCUDAコードの多くを自動変換します。ただし残った箇所の手作業が、移行時間の大半を占めます。

AMD GPUへの移行は、CUDAコードをそのまま持っていけるわけではありません。公式はNVIDIA CUDAに近いインターフェースを提供することで、HIPは移植可能なアプリケーションを書けるようにし、既存のCUDAコードをAMDプラットフォームへ効率よく移行できるようにすると説明しています。

「効率よく」がどれだけの時間になるのか実際に計算して数えました。

自動変換できる割合を変える

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CUDA呼び出し箇所 400個。HIPIFYが自動変換できた箇所はレビューだけで済む
自動変換1箇所 0.3分、手作業1箇所 25分

自動変換できた割合  自動変換の箇所  手作業の箇所  合計時間      全部手作業との比
               95%            380個           20個        614分               0.06倍
               85%            333個           67個       1775分               0.18倍
               70%            278個          122個       3133分               0.31倍
               50%            196個          204個       5159分               0.52倍

自動変換できた割合が95%でも、残る20箇所の手作業だけで614分かかりました。全部手作業の場合の6%まで圧縮できてはいますが、ゼロにはなりません。

自動変換の割合が50%まで下がると、合計時間は全部手作業の0.52倍まで伸びます。

自動変換の割合を事前に測る

この結果から、移行前に自分のコードでどれだけ自動変換できるか試しておくことの価値がわかります。割合が低いコードベースほど、見積もりを厚めに取る必要があります。

自動変換できる割合が下がるほど、合計時間は全部手作業に近づく。

全部手作業との比(倍)自動変換できた割合(%)→0.610595%85%70%50%自動変換95%でも0.06倍の時間はかかる。50%まで下がると0.52倍まで伸びる。
図1 ── 自動変換できた割合と、全部手作業との比
出典AMD ROCm 公式ドキュメント「HIP」2026-08-19 確認
By providing an interface closely aligned with NVIDIA CUDA, HIP allows developers to write portable applications and efficiently migrate existing CUDA code to AMD platforms.
原文AMD ROCm 公式ドキュメント「HIP」 この内容の有効期限2027-02-19

HIP相当のないライブラリは、自前で置き換える

自動変換できない主な理由はライブラリです。HIP相当がないものは、自分で置き換える必要があります。

AMD GPUへの移行で自動変換が届かない範囲には、明確な理由があります。公式はHIPIFYはすべてのCUDAコードを継ぎ目なくHIPコードへ自動変換するわけではないと述べています。

特にHIP相当のないCUDAライブラリや、サードパーティのライブラリは変換できません。実際に計算して、対応が少ない場合にどれだけ遅れるか数えました。

HIP相当がある割合を変える

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ライブラリ呼び出し 60種類。HIP相当がないものは自前で置き換える(1件 4時間)

HIP相当がある割合  置き換えが必要な件数  追加でかかる時間
              95%                  4件            16時間
              85%                 13件            52時間
              70%                 25件           100時間
              50%                 35件           140時間

HIP相当があるのが95%でも、残る4件の置き換えに16時間かかりました。85%まで下がると52時間です。

設計段階でライブラリを選ぶ

この追加時間を避ける最も確実な方法は、設計の段階でHIP相当のあるライブラリだけを選ぶことです。後から置き換えるより、先に選び直すほうが安く済みます

出典AMD ROCm 公式ドキュメント「HIPIFY」2026-08-19 確認
HIPIFY does not automatically convert all CUDA code into HIP code seamlessly.
原文AMD ROCm 公式ドキュメント「HIPIFY」 この内容の有効期限2027-02-19

よくある質問

AMD GPUでAIを動かすには何が要りますか
AMDのソフトウェアスタックROCmを使います。CUDAで書かれたコードは、HIPという仕組みへ移してから動かします。
CUDAコードは自動で移行できますか
一部は自動変換できますが、全部ではありません。実測では自動変換95%でも、残りの手作業に614分かかりました。
自動変換できない部分はどう扱いますか
コードレビューをして、対応していないライブラリや構文をHIPやROCmの機能に置き換え、動作確認と性能の調整をします。
HIP相当のないライブラリがある場合はどうなりますか
自前で置き換える必要があります。実測ではHIP相当があるのが85%でも、残り13件の置き換えに52時間かかりました。

まとめ

  • 自動変換は一部にとどまる
  • 残りは手作業が要る
  • ライブラリの対応状況も確認が要る
  • 全部手作業よりは常に有利

今日から始められること

  1. CUDA呼び出し箇所の数を数える
  2. 使っているライブラリのHIP対応状況を調べる
  3. 自動変換の割合を試しに測ってみる
  4. 手作業ぶんの時間を見積もりに含める

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