RAG・検索基盤

エージェンティックRAGとは|いつも2回引くと14回、決めさせると7回

エージェンティックRAGとは何をするのか固定で引くのと何が違うのか判断が外れたらどうなるのか

問いによっては検索が要りません。逆に、1回引いただけでは足りない問いもあります。

引くかどうかを決めさせて測りました。7件すべてで必要な文書がそろい、検索は7回でした。いつも2回引く方式も7件そろいますが、検索は14回かかります。

この記事の要点

  • いつも1回引くと5/7(検索7回・無駄2回)
  • いつも2回引くと7/7(検索14回・無駄4回)
  • 決めさせると7/7(検索7回・無駄0回)
  • 2回要る問いは、1回では0/2

いつも2回引くと14回、決めさせると7回

3通りのやり方を同じ問いで測りました。結果は同じでも、検索の回数が倍違います。

エージェンティックRAGで回数を変えると何が起きるのかを、実際に走らせて測りました。用意したのは性質の違う問い7件です。

内訳は検索が要らない2件・1回で足りる3件・2回要る2件です。2回要る問いは、1回目で分かったことを使って2回目を引く形にしました。

javascript
for (const t of TASKS) {
  if (t.need.length === 0) { ok++; continue; }          // 引かない
  let got = top(t.q, 3); search++;
  if (t.second) { got = [...got, ...top(t.second, 3)]; search++; }
  if (covered(got, t.need)) ok++;
}
text
やり方                  必要な文書をそろえた  検索の回数  無駄な検索
いつも1回引く                        5 / 7          7回          2回
いつも2回引く                        7 / 7         14回          4回
引くか決めてから引く                     7 / 7          7回          0回

問いの種類          件数  そろえた
検索が要らない                2件     2 / 2
1回で足りる                 3件     3 / 3
2回要る                   2件     0 / 2

上の表を見てください。決めさせた場合と、いつも2回引く場合はどちらも7/7です。違うのは検索の回数で、7回と14回に分かれました。

2回要る問いは1回では届かない

下の内訳が、いつも1回引く場合の結果です。2回要る問いは0/2でした。

1回目で書類の名前が分かっても、その書類の期限は別の文書に書いてあります。1回では、どちらか片方しか取れません

要らない問いにも引いている

右端の列が無駄な検索です。いつも1回引く方式で2回、いつも2回引く方式で4回出ました。

挨拶や計算に検索は要りません。それでも固定の構成では引きます。引かないという選択肢がないからです。

余談 この表の読み方

検索が要らない問いは、引いても「そろえた」に数えています。必要な文書が0件なので、常に条件を満たすためです。ここで生じている損は件数ではなく、右端の無駄な検索の列に出ます。

結果は同じ7/7。違うのは検索の回数。

いつも1回引く要る検索5無駄な検索27回いつも2回引く10414回引くか決める77回問い7件での実測。必要な文書をそろえた件数は順に5/7・7/7・7/7。
図1 ── やり方ごとの検索回数
出典Docs by LangChain「Retrieval」2026-08-18 確認
If not, the system may refine the query and retrieve again.
原文Docs by LangChain「Retrieval」 この内容の有効期限2027-02-18

エージェンティックRAGとは何をするのか

検索を決まった位置に固定せず、AIに引くかどうかと引き方を判断させます。問いによって回数が変わります。

エージェンティックRAGは、検索するかどうか、何をどう引くかをAIに決めさせる構成です。

固定の構成との違い

普通の構成では、検索は決まった位置に1回入ります。問いが何であっても同じ回数です。

LangChainの文書は、この形について段階を追って考え、判断する主体が中にいるものだと説明しています。回数は前もって決まりません。

繰り返す判断

  1. 引くかどうかを決める。要らなければここで終わり
  2. 引く文字列を決める。問いをそのまま使うとは限らない
  3. 取ってきたものを見る。足りているかを判断する
  4. 足りなければもう一度。分かったことを使って引き直す

同じ文書も、取ってきた文書について足りていなければ、問いを練り直して再度取得することがあるとしています。4番目がこれにあたります。

要るかどうかの見分け

この構成が効くのは、問いの性質がばらついている場合です。前の節の計測でも、2回要る問いがなければ1回固定で足ります。

自分の問いを仕分けてみて、2回以上要る問いがほとんどないなら、この構成は入れないほうが簡単です。判断の役を1つ減らせます。

余談 この計測での注意

判断は正解を知った状態で行っています。判断が完璧な場合の上限値だと考えてください。実際には生成AIが判断するので、ここまでは出ません。判断が外れたときにどうなるかは、この記事の失敗の節で数えています。採点役を挟む近い構成はCorrective RAGの記事で扱っています。

出典Docs by LangChain「Retrieval」2026-08-18 確認
reasons step-by-step and decides
原文Docs by LangChain「Retrieval」 この内容の有効期限2027-02-18

エージェンティックRAGでよくある失敗

待ち時間の上限を言えなくなることです。回数が問いごとに変わるので、最悪の場合を前もって示せません。

エージェンティックRAGを入れると、問いごとに処理の量が変わります。ここから複数の困りごとが出ます。

待ち時間が読めない

固定の構成なら、検索は必ず1回です。最悪でもこれだけ、と言い切れます

決めさせる構成では、うまくいかない問いで引き直しが続きます。上限を決めておかないと、待ち時間が伸び続けます

判断が外れたときの二種類の損

text
判断の正しさ  要らないのに引く  2回要るのに1回で止める
     100%            0.0件                  0.0件
      90%            2.9件                  2.9件
      80%            5.7件                  5.7件

外れ方は2通りあります。要らないのに引く場合は、費用と待ち時間だけを損します。答えは出ます。

もう一方は重い損です。2回要る問いを1回で止めると、答えが出ません。前の節の実測でも0/2でした。

中間を選ぶ

全部を任せる必要はありません。LangChainの文書も、中間の構成について固定の流れより柔軟でありながら、実行に対する制御をいくらか保つとしています。

たとえば引き直しは1回まで、と決めておくやり方があります。判断は使いつつ、上限は固定されます。

任せるほど柔軟になり、読めなくなる。

充足 2 / 42回以上要る問いが実際にあるないなら1回固定で足りる。判断の役を1つ減らせる引き直しの回数に上限を設けている上限がないと、うまくいかない問いで待ち時間が伸び続ける待ち時間の上限を利用者に示している回数が問いごとに変わるので、固定の構成のようには言い切れない念のためいつも2回引いている実測では結果が同じ7/7でも、検索は7回と14回に分かれた問い7件での実測にもとづく。判断が外れると、費用の損と答えが出ない損の2通りが生じる。
図2 ── 構成を選ぶときの点検項目
出典Docs by LangChain「Retrieval」2026-08-18 確認
These systems offer more flexibility than fixed pipelines while maintaining some control over execution.
原文Docs by LangChain「Retrieval」 この内容の有効期限2027-02-18

よくある質問

いつも2回引けばよいのでは
結果は同じ7/7でしたが検索は14回でした。要らない問いにも2回引くので、無駄が4回出ます。
2回要る問いとはどんなものですか
1回目の答えを使って2回目を引く問いです。この計測では、日帰りで出す書類を特定してからその期限を引く形にしました。
判断が外れるとどうなりますか
要らないのに引くか、2回要るのに1回で止めます。判断が9割正しい場合、100問あたりそれぞれ2.9件です。
待ち時間はどうなりますか
問いによって変わります。固定の構成のように、上限を前もって言い切ることができません。

まとめ

  • 検索するか、何回引くかをAIに決めさせる構成
  • 決めさせると7/7を検索7回で達成
  • いつも2回引く方式は同じ7/7でも14回
  • 待ち時間が問いごとに変わる

今日から始められること

  1. 自分の問いを、検索が要らない・1回・2回以上に仕分ける
  2. 2回以上要る問いが何割あるかを数える
  3. 1回固定で足りるなら、決めさせる仕組みは入れない
  4. 入れる場合は、引き直しの回数に上限を設ける

実務で組んだエージェンティックRAGのワークフローには、値段が付きます

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